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スマートホームによる、LGとサムスンの握手


最近の報道によれば、LG Electronics (LG) はHome Connectivity Alliance(HCA)Specification 1.0の初の商業実装を発表しました。これにより、LGのThinQ™スマートホームプラットフォームを介して、異なるブランドの家電製品が接続可能になります。今後、SamsungやVestelなどの多様なブランドの家電を、直感的な操作が可能なThinQアプリで制御できるようになると述べられています。

一方、Samsung Electronicsもこの動きに同調しており、HCAの仲間たちと協力し、ユーザーが選んだアプリを使用して他社のスマート家電を制御する能力を消費者に提供すると発表しています。これにより、特定の家電やHVACシステム間のCloud-to-Cloud (C2C) の相互運用性が実現される見込みです。

今後は二つのビッグプレイヤーであるLGとSamsungが、互いの家電製品を操作できるように進化していくと言われています。LGとSamsungの歴史に精通している方々には、これはまさに革命的なニュースと捉えられています。この記事でその経緯を紹介します。

目次


LGとSamsungの過去

まずは、LGとSamsungの歴史について少し説明したいと思います。

Samsung (サムスン) 1938年に李秉喆氏によって創業されたSamsungは、初めは食品や織物といった取引を手がけていました。しかし、時間と共に多角化し、特に1970年代からエレクトロニクス産業への本格的な進出を開始しました。 LG  1947年に魯武春氏によって創業されたLGは、当初ラクヨン化学工業として始まりました。その後、Goldstarとして電子機器の製造に乗り出し、90年代初頭に現在のLGという名前に変わりました。

1970年代以降、両社はそれぞれのテレビ、洗濯機、冷蔵庫といった家電製品で知名度を上げていきました。特に、テレビ市場においては、SamsungのLCD技術とLGのOLED技術が世界をリードしています。2000年代に入ると、両社はスマートフォン市場での競争を始めます。Samsungの「Galaxy」シリーズとLGの「G」シリーズは、それぞれのブランドの代名詞となりました。今現在では、LGとSamsungは、AI、IoT、自動車、再生可能エネルギーなど、さまざまな分野での技術開発に力を入れています。

国際的に知名度のある両社ですが、その長い確執は韓国国内で有名な話です。サムスンの創業者、李秉喆とLGの創業者、具仁会は中学校の同級生であり、お互いを深く尊重していましたが、サムスンが電子製品事業に参入したことで、その関係は一変しました。

両社は家電製品市場での競争を続け、裏面で数々の事件やスキャンダルも起こっていました。OLEDとLCDのスクリーン技術を巡って争い、2014年IFAでの洗濯機の事件で裁判にも発展するなど、LGとSamsungの競争は終わることがありませんでした。

(しかし、裏では多くの社員同士が友人として親しい関係にあり、お互いの企業の計画や情報を共有していました。)

HCAとは?

絶えず対立してきたLGとSamsungが手を結ぶきっかけとなったのは、HCAという組織の働きによるものです。

Home Connectivity Alliance (HCA)は、スマートホーム分野において、クロスブランドの相互運用性の実現を目指すためのアライアンスです。2022年に設立され、その主要なビジョンは、異なるメーカーの家電製品をシームレスに連携させることです。LGはアライアンスの役員として、SamsungやVestelを含む他の家電メーカーと協力し、HCA Specification 1.0の採用を推進してきました。

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この新しい取り組みにより、消費者はSmartThingsアプリやLGのThinQ、VestelのVeeZyなどを使えば、どのメーカーのスマート家電でも制御できるようになると言われています。さらに、2024年にはInterface Specification 2.0がリリースされ、エネルギー管理機能と電気車(EV)充電器などの新製品のサポートが追加される予定です。

こうした技術の進化により、日常生活はより便利になり、エネルギー効率を向上させる可能性があります。自宅のどのメーカーの家電であっても、一つのアプリにデータを管理できるため、エネルギーの使用状況を把握し、より効率的に使うことができます。特に、LGとSamsungの協力は、この新しい時代の幕開けを象徴しています。

最後に

長い間競争を繰り広げてきたLGとSamsungが、スマートホームの分野で手を取り合ったことは、消費者にとって画期的な出来事です。HCAの下でのこの新しい連携は、さまざまなブランドの家電製品がスムーズに繋がることを実現し、ユーザーの利便性を一段と高めるものとなるでしょう。

大手ブランドの協力は、家電業界全体での標準化や相互運用性を促進する見込みです。

結局のところ、どの家電ブランドを使用しているかに縛られず、一つのアプリケーションで簡単に操作ができる時代が近づいているのです。そして、この進歩は、LGとSamsungの競争から協力への変遷を通じて実現されるものであり、この出来事は、家電産業の新たなスタートとも言えるでしょう。

参考リンク

スマートホームに精通する専門家集団によるスマートホームコラム

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弊社は、複数のスマートホーム事業を立ち上げた経験があるメンバーが揃っているので、スマートホームで暮らしや生活を豊かにしたい日本企業様向けのコンサルティングサポートを行っています。 スマートホーム関連技術のみならず、スマートホームを事業化するノウハウを惜しみなくご提供するエデュケーションプログラムも提供しています。弊社のオフィス兼ショールームにて、国内外のスマートホーム製品を実際にご覧になることも可能です。ご希望の企業担当者様はお気軽にお問い合わせください。

X-HEMISTRY株式会社

スマートホームの統一規格matterを推進する団体CSAの日本支部代表が所属 - 日本国内において唯一のスマートホーム事業化のコンサルティング会社 - CESやIFAなど海外展示会のビジネス視察の支援も実施 - CEO新貝将文は、毎年CEATECやジャパンビルドに登壇している

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