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Amazon秋新製品発表、スマートホームキーワード読解

Amazonは先日の秋の製品発表で、多くの新製品や新サービスを紹介しました。本記事では、Amazonの新発表で取り上げられたスマートホームに関するキーワードについて詳しく説明します。

目次


「Matter対応」

2023年5月に、Amazonはスマートホームの共通規格「Matter」への大きなアップデートを実施しました。現時点では一億台以上のEchoスマートスピーカーがMatter対応になり、さらに、iOSのAlexaアプリでもMatterデバイスを追加できるようになりました。

(Matterについて詳しく知りたい方はこちら👇)

先日の発表会では、特に注目すべきMatter対応のデバイスとして、Echo Show 8、Echo Hub、そしてルーターのEero Max 7が挙げられます。

Echo Hub

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画像:Amazon

スマートホームパネルのEcho Hubは、Zigbee、Thread、BLE、Amazon Sidewalk無線通信規格に対応しており、ThreadボーダールーターやMatterコントローラー(新しいMatterデバイスを発見して接続したり、デバイスを制御したりするソフトウエアコンポーネント)として機能します。操作と設置は極めて簡単で、壁に取り付けることも、テーブルに置くことも可能です。また、179.99ドルと、お手頃な価格であることも注目されています。

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Map View

さらに、新しいマッピング機能「Map View」も導入予定で、家の図をデジタルで作成し、デバイスをピン留めして管理することができます。Echo Hubは、スマートホームをより手軽に管理するための強力なツールとして期待されています。

Eero Max 7

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高速イーサネットポート4つ搭載

Matter対応のEero Max 7ルーターは、10GBイーサネットポートと2.5GBイーサネットポートを2つづつ搭載し、合わせて4つの高速イーサネットポートがあります。また、Zigbeeにも対応し、Threadボーダールーターとしても利用可能です。Amazonの情報によれば、200台以上のデバイスをサポートします。昨年のEcho Dotのような他のAmazon製品との統合が進んでおり、Eero Wi-Fi中継機として機能することができます。また、昨年のイベントで専用のEeroハードウェア、Eero PoE 6およびPoE Gatewayを発売しました。

Eeroのルーターは、簡単にセットアップし使用できることで知られていますが、Wi-Fiネットワークを微調整する機能がほぼ無いなど、できることに制限があるのも実態です。

Echo Show 8

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画像:Amazon

最新のスマートディスプレイEcho Show 8は、最新のAZ2プロセッサを搭載しているため、前モデルよりも40%高速に動作します。デザイン面で注目すべきは、中央に配置されたカメラと、近づくと表示されるクイックアクセスボタンです。Echo Show 8は、Matterにも対応しており、BLE、Wi-Fi、Sidewalkと組み合わせることで、さまざまなスマートホームデバイスとスムーズに連携できるようになっています。

Amazonは現在、既存の第4世代Echoスマートスピーカーと新たに発表されたEcho Show 8、Echo Hubからなる3つのスマートホームハブを持っており、すべてがThreadとZigbeeの両方に対応してます。

「アンビエント」

Amazonは、常にアンビエントインテリジェンス(周囲の環境に組み込まれたデジタル技術)の推進を積極的に行っており、ユーザーの日常生活のニーズを先取りし、新たな価値を作ることへのビジョンを持っています。

Amazonの「アンビエント」は、Kindleから始まり、EchoやAlexaのような新しいデバイスへと拡大しており、ユーザーにデバイスを意識させることなく、日常生活をサポートします。4億以上のスマートホームデバイスがAlexaと連携可能である現在において、そのポテンシャルが期待されています。

今回の発表会で注目されるのは、モバイルデバイスにおける単独なユーザーの使用習慣向けの「パーソナルコンピューティング」ではなく、部屋内の情報や複数人に対応する「アンビエントコンピューティング」です。

「アダプティブ・コンテンツ」

今回の発表会では、新しい機能「アダプティブ・コンテンツ」が発表されました。IRセンサーが自動で起動し、ユーザーがどれくらい離れているかを感知し、それに応じて画面上のコンテンツの表示方法を変更します。デバイスに近づくと、より詳細な情報が表示され、デバイスから離れると一目でわかる情報が表示されます。

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「アダプティブ・コンテンツ」離れる場合
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「アダプティブ・コンテンツ」近づく場合

この機能は、スマートディスプレイのEcho Show 8とスマートホームパネルのEcho Hubに両方搭載されています。これにより、デバイスに近づいているのか、あるいは部屋に誰がいるのかを識別します。ユーザーが個人情報を入力することなく、ただユーザーとの距離に合わせてディスプレイの表示が変わるので、非常に歓迎されるでしょう。 さらに、空間オーディオを搭載している新しいEcho Show 8は、Sonosの最新スピーカーと同様に、お部屋のサイズや条件に合わせてスピーカーを調整し、より良い音質を実現するように設計されています。

「ルーティン」

アンビエントエクスペリエンスを実現するためには、オートメーションは非常に重要なステップだと考えます。Amazonの取り組みの中で最も注目されるのは「ルーティン(Routine)」という機能です。 新しいAlexaの機能で、アプリでの設定なしに、ただ声だけでAlexaのルーティンを設定できるようになりました。例えば、「Alexa、毎朝8時にスピーカーをオフにして、ブラインドを開け、寝室のライトをつけ、コーヒーを入れて」と言うだけで、毎日8時に指定した動作が自動的に行われるようになります。さらに、「Alexa、毎晩子供たちの就寝時間だとアナウンスして、2階のライトを暗くし、玄関のライトをつけ、寝室のファンをつけて」と言うと、それらの動作も自動的に行われるようになります。

Ring用のルーティンは、ユーザーの好みや自宅のRingデバイスに応じて、予め設定されたルーティンをRingアプリと同期します。これには、Ringアラームが外出モードに設定されたときに照明をオフにする、夜にドアベルが鳴ったときに玄関の灯りをつける、またはAlexaがどのドアが開いたかをアナウンスするといったアクションが含まれます。さらに、家族の目覚めをもっと楽しくする新しい「朝のルーティン」も追加されており、子供たちの起床時のルーティンにキャラクターアラーム、読み聞かせなどを追加することができます。

「自動照明」

オートメーションについてさらに述べると、Amazon Echoは、自動照明機能を導入すると発表しました。自動照明(スマートライティング)は、スマートホームで最も人気のあるユースケースの一つですが、設定や制御が煩わしいことがあります。この新機能により、Amazonは、電球を買って取り付けるだけで簡単に利用できるようになりました。

この機能は、アプリでの初期設定以外にセットアップが不要で、直ぐに使うことができます。スピーカー内のモーションセンサーと周辺光センサーを利用して、部屋の中での動きや明るさを感知し、自動で照明をつけることができます。また、一定期間センサーが反応しなかった場合、照明を自動的にオフにすることもできます。セットアップは必要ありませんが、自動照明をカスタマイズすることも可能です。例えば、点灯時の照度を指定したり、作動する時間帯や操作する照明をそれぞれ設定できます。

「対話型LLM(生成AI)」

新しいEchoデバイスのほとんどに、専用の大規模言語モデル(LLM)を導入すると発表しました。新しいAlexaは、対話型LLM(生成AIの一種)によって駆動されるもので、会話型AIの新しい能力が備わっています。これには以下の5つの主要な機能があります。

会話的(conversational) Echoのセンサー入力を活用して、非言語の情報を理解します。Amazonは「自然な会話をするために何が必要か」を研究し、それは単に言葉だけでなく、ボディーランゲージや相手を理解すること、目のコンタクトやジェスチャーであると述べています。まだEchoデバイスに目や手のジェスチャーを追加する予定はありません。 実用性(real-world applications)新しいAlexaは数多くのデバイスやサービスに接続し、より人間らしい行動をとることができます。リアルタイムの情報を提供できます。 個人化(personalization)次世代のAlexaは、ユーザーの環境、使用したサービスや過去の対話に基づいて独自のプロフィールを作成し、個人化された体験を提供します。 個性化(personality)新しいLLMにより、Alexaはもっと魅力的な会話を提供します。アメリカで「Dad joke」と呼ばれる親父ギャグも簡単にできるようになりました。 信頼性(trust) センサーを活用し、ユーザーのプライバシーとセキュリティを保護する設計になっています。

さらに、顔認識機能を利用したVisual ID、より自然な会話のための新しい音声認識エンジン、そして表現豊かな音声の変換技術が導入されました。この一連の強化により、Alexaは人間のような対話を提供することができ、その反応や口調もユーザーの発言に応じて変わります。

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発表会でレシピをおすすめするAlexa

今のところ新しいAlexaは、近いうちにアメリカのAlexaユーザーに向けて無料のプレビューとして提供される予定ですが、有料になる可能性があります。

Amazonは長い間Alexaの収益化で苦しんでいて、一時期ヘルスケアデバイスの「Amazon Halo」の撤退までに至りました。

AmazonのEchoデバイスは引き続き売り上げトップを維持していますが、Alexa事業は大きな損失を記録しており、事業の持続性についての疑問が呈されています。ニューヨークタイムズによりますと、2018年にはAlexaは年間50億ドルの損失を出していました。

今回の生成AI搭載のAlexaは、技術的進歩が大きい一方、サブスク型ビジネスモデルとしてもかなり大きな期待を背負っていると思います。

「サービス有料化」

Alexa有料化の予想につれて、今回の発表会では既にいくつかの有料サービスを発表しました。

Echo Show 8 Photos Edition

今回は、新しいスマートディスプレイEcho Show 8をデジタルフォトフレームとして使用するための料金を導入しました。新しい「Echo Show 8 Photos Edition」は、通常のディスプレイよりも10ドル高く、写真を主要なるホーム画面コンテンツとして表示できるようにします。このPhotos Editionには、Amazonの新しいPhotosPlusサービスへの6ヶ月のサブスクリプションが含まれ、この強化された「フォトモード」を有効にします。

PhotosPlusは、Echo Show 8 Photos Editionのホーム画面で家族や友人と個人の思い出や写真と共有することを可能にします。しかし、6ヶ月後には毎月1.99ドルを支払う必要があります。一回キャンセルすると、Echo Show 8 Photos Editionは通常のEcho Show 8に戻ります。これに対し、GoogleのNest Hubのような競合他社は、無料でフォトフレーム機能を提供しており、Amazonのこの有料サービスは受け入れられるかが課題となりそうです。

Emergency Assist

Alexaは、ユーザーが「Alexa、助けを呼んで」と言うことで、Echoデバイスを通じて緊急サービスに連絡できる新機能、Emergency Assistを発表しました。サービスの費用は、月額5.99ドルまたは年間59ドルです。 Alexaは直接警察・消防には連絡できませんが、ユーザーを緊急サービスに通報できるエージェントに接続します。さらにAlexaアプリに自宅の住所、ゲートコード(ピンコード)、常用薬、アレルギーの有無などの重要な情報を事前に保存でき、Emergency Assistがこれらの情報をエージェントに伝えます。また、Alexaにスモークセンサーのアラーム音を検出させ、誰も家にいない場合はユーザーに通知し、緊急サービスにアラートを送る機能もついています。

「的確性」

「Emergency Assist」のような緊急対応サービスが増加している現状で、誤報の問題も重視すべきです。アメリカの掲示板「Reddit」を参照すると、Ringなどの人物検知の誤報は決して珍しくありません。

それに応じて、Blink、Ringの発表では、アラートの的確性の重要性が強調されました。新しく発表されたRing Stick Up Cam Proに、動体検知を強化するレーダーセンサーを追加しました。

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Ring Stick Up Cam Pro

レーダーセンサーの追加により、3D動体検出、「Bird’s Eye Zones」、および「Bird’s Eye View」を使用すると、自宅や敷地をより広範囲で見ることができ、より的確なアラートを設定し、受け取ることができます。例えば、配達車から玄関までの荷物の経路に関する情報を取得できます。また、玄関でのモーションには通知を受け取るようにアラートをカスタマイズできますが、歩道には反応しないように設定できます。

最後に

キーワードの「アンビエントコンピューティング」から「Matter対応」まで、まるでスマートホームの未来を手中に収めるような発表会でした。その実際の製品やサービスが楽しみです。

参考リンク

スマートホームに精通する専門家集団によるスマートホームコラム

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弊社は、複数のスマートホーム事業を立ち上げた経験があるメンバーが揃っているので、スマートホームで暮らしや生活を豊かにしたい日本企業様向けのコンサルティングサポートを行っています。 スマートホーム関連技術のみならず、スマートホームを事業化するノウハウを惜しみなくご提供するエデュケーションプログラムも提供しています。弊社のオフィス兼ショールームにて、国内外のスマートホーム製品を実際にご覧になることも可能です。ご希望の企業担当者様はお気軽にお問い合わせください。

X-HEMISTRY株式会社

スマートホームの統一規格matterを推進する団体CSAの日本支部代表が所属 - 日本国内において唯一のスマートホーム事業化のコンサルティング会社 - CESやIFAなど海外展示会のビジネス視察の支援も実施 - CEO新貝将文は、毎年CEATECやジャパンビルドに登壇している

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